2018年02月21日

「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」ワークショップ

「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」ワークショップ
〜 企画のきっかけから第一回までの顛末記 〜

青木 安輝

<ある日のこと・・・>

ある日、仕事の合間に事務所の本棚をなんとなく眺めていました。で、いつもと違う感覚になっている自分に気づきました。以前だったら、「いつか読まなきゃ」とうしろめたさを感じていた未読本に対してもう読まなくていいやと思ったのです。読んでいない本や魅力を感じなくなった本が邪魔な気がしました。そこで、鮮明に記憶が残っている本、自分が強く影響を受けたと思う本、再度読みたくなる本だけを取り出して机の上に並べてみました。もともと読書家ではないので、ほんの十数冊程度でした。しかも若い頃に読んだ本が多く、その並びを見たときに青春時代の匂い(様々な感覚)が蘇ってきました。そして、もともと自分がどんな人生を送りたいと望んでいたかを「思い出した」気がしました。その後の人生で、その希望通りに進んでいった部分もあるし、方向転換や現実的な妥協をしてきた部分もあります。そして、あらためて人生航路の見直しをしてみたくなりました。

<「LIFE SHIFT〜100年時代の人生戦略〜」(リンダ・グラットン他著)

それと時を同じくして、「LIFE SHIFT〜100年時代の人生戦略〜」という本を読み、実際に何年生きることになるかは別にして、人生を本気で100年で考えるということが必要だと痛感しました。「子供」と「大人」という人生区分しかなかった時代から、産業化社会では新たに「ティーンエージャー」「引退者」という区分が生まれ、人生は「教育」「仕事」「引退」の3ステージで構成されるというのが常識になりました。しかし、長寿化により人生100年時代になると、従来「引退」という区分に入っていた60代以降の時間がとても長くなります。それを苦しい時間にしてしまうのか、生きることの豊かさを自分なりに長く享受できる期間にするかの分かれ目を決定する確立されたノウハウはありません。むしろ個人差が大きく、誰にでもあてはまる典型的な人生100年モデルなどないし、私たちは自覚している以上に人類史上初めての長寿化社会誕生の混沌の中にいるわけです。「前の世代(や隣人)と同じでいい」と思っていると「こんなはずではなかった」という状況になるケースも増えるでしょう。つまり、誰もが自分なりに深く考えて自分なりの高齢時代の過ごし方を見つける必要があるということになります。それをちょうどいいタイミングですれば、悲観的になる必要はなく、自分なりの望む未来が見えてくるはずです。早すぎても遅すぎても効果は薄くなります。今年還暦を迎える自分としては、まさに今そういう大きなスパンの視野で考えを深める時期だと思いました。

<「ミドルエージャー」= 自分の可能性を見定め直す年代>

直訳すれば中年期の人となる「ミドルエージャー」ですが、「中年」というのは、一昔前は老人の一歩手前というニュアンスでした。しかし、最近では60才くらいでは「老」という言葉がまったくあてはまらない人が多くなりました。ゴルフ場に行くと、昔は70才と聞いたらプレーできるだけで幸せという年齢だったのが、今では競技志向のままエージシュート(年齢と同じかそれ以下のスコア)を達成しようという人が珍しくありません。老化指標である「歩行速度」は1990年代と比べて2002年時点で11才ほど若返っているという科学的データもあります。最近では80才を超えた女性プログラマーが高齢者向けのアプリを開発したというニュースが話題になりました。日本の90才以上の人口はなんと250万人で、100才以上だけでも6万人います!つまり2018年現在60才前後の人は、これからの医療技術の進歩や健康意識のさらなる高まりなどを考慮すれば、高い確率で90才以上生きることになりそうです。

そうなると、「ミドルエージャー」を単に老齢化一歩手前の年代という消極的な捉え方ではなく、新たな視点で捉える必要があります。今までの生き方とこれからの生き方の中間(middle)にいて、自分の可能性を見直す再チューニングに適した時期の人。そして次のライフステージを自分なりに納得して迎えられるよう、未来に向けての可能性を見定める期間を生きている人という意味あいが適当でしょう。

また色々な経験をしてきて、何を幸せと思えるのかに関しての知恵が深まっているので、バランスのとれた中庸(middle path)の大切さを認識している世代という意味もあります。体力や知力・気力などは若い頃に比べると低下してくるのは否めませんが、逆に求め過ぎもせず、遠慮し過ぎもせず、自分の状況に合った「ちょうどいい具合」を見つけられる能力が高まってくる年代とも言えます。

そういう意味ではミドルエージャーの定義は年齢で簡単に区切れません。40代、50代、60代がボリュームゾーンですが、30代以前でも70代以降でも、人生のミドルポジションにいて、「これまでの人生」と「これからの人生」を俯瞰した上で、自分なりの人生航路を見定めようとしている人は、すべてミドルエージャーと言えます。

(*) まさにこの原稿を書いている最中(2018年2月16日)に配信されたニュースで、政府が高齢者を65才以上とする定義を見直すことが正式に閣議決定されたと発表されました!

<「100年人生俯瞰」とは>

2月11日に開催された第一回「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」ワークショップに参加された皆さんに伺うと、このタイトルを見た瞬間に「ピンときた!」という方が多かったです。「今まで頑張って生きてきたけど、このままその延長線上にいればいいのか、それとも・・・」までは考えるけど、この「・・・」の先に何があり得るかをじっくり自問自答したり、色々な人と対話をする機会がない、もし機会があるなら是非そうしたい。そう思う方は潜在的に数多くいるようです。私自身まさにその一人でした。

私は大学では社会学専攻で、就職後は人間コミュニケーション関連の近接領域で36年間仕事をしてきました。だから人と接すること自体が仕事であった割合が大きいです。その経験から、人は本当に多様なので、有名講師や研究者の「人は〜である」という教えに接しても、自分にはあてはまらないと感じることが沢山あること、人の生き方は教えられるものではなく自分が発見するものだということを思い知らされました。ましてやワークショップに来られる人たちは、人生経験を積んできたミドルエージャーです。なので、新たな情報提供やノウハウ提供は一切しない、参加者同士の対話のみで各自が自分と出会い直す場になるようなワークショップを企画することにしました。

「人生俯瞰」は2つのことを通じて自分の人生を“ながめてみる”体験です。一つは「これまでの人生」と「これからの人生」に関して「語る」ことを通じて、それらをどう捉えている自分がいるのか確認すること。もう一つは、他の多様な人たちがそれぞれの人生を語るのを「聴く」という刺激によって、自分の人生のとらえ方を見直すことです。形の上では他者と話しますが、内側で起こる自分自身との対話を大切にします。人の話を聴いて思ったことを伝えることもしますが、本人の肯定的な自問自答を深めるためのサポートとしてするだけです。批判的な忠告や指導のようなことは一切しません。進行役の私も含めて、他者を変えようとすることは一切ないということです。また、コミュニケーションスキルのセミナーではないので、自由な雰囲気の中でリラックスしてリビングルームで茶飲み話をするのに近いような環境づくりをこころがけました。

<ワークショップ概要>

  1. 事前準備:

    ワークショップに来てからいきなり自分の人生について語ってくださいというのでは、とまどう人もいるかもしれないということで、自分の人生について語るための事前準備ワークを9つメールでご提示しました。どれをやっても良いし、やらずにぶっつけ本番で語るのも良いということにして、選択できる幅を広くしました。9つの項目は下記の通りです:

  2. ★「これまでの半生」について語るための準備:
    • 「 半生年表を書いてみる」
    • 「お気に入りを並べてみる」
    • 「スパークリング・モーメント」リストをつくる
    ★「自分の“現在地”をとらえる」試み:
    • 「昔の日記(やその他自分が書いた文章)を読む」
    • 「『等身大の自分てどんな自分?』と自問する」
    • 「ファクトチェック」
    ★「これからの自分の人生をイメージする」ための事前準備:
    • 「バケットリストを書く」
    • 「若い頃の夢を思い返してみる」
    • 「自分の訃報記事を書いてみる」
  3. プログラムの内容:

    「語る」人と「聴く」人がいるだけで、何の「教え」もないいたってシンプルな語り 場です。最初に全体で、進行についての説明とアイスブレーク的な自己紹介があり、 次に小グループに分かれて3つの対話ワークをします。そして、最後にまた全体で 集まって、一言づつ感想をシェアします。途中に昼休みや小休憩をはさみます。

    対話ワーク①:「生まれてから今日までのことを語る」
    対話ワーク②:「スパークリング・モーメントを語る」
    対話ワーク③:「未来を語る」

    「スパークリング・モーメントのリスト」「ミニ・バケットリスト」「望んだ通りになった未来の年表」などを書く時間も設けられ、「語り」の後には「リソースゴシップ(良い噂話)」とフリートークがつづきました。

  4. ソリューションフォーカスな要素と気楽な雰囲気づくり:

    対話のスピリットとして「認め合い、学び合い、応援し合う」というSFアカデミア・クリードが紹介され、基本的に肯定的な雰囲気の中で進行されました。

    但し、コミュニケーションスキルの研修ではないし、コーチングやカウンセリングの場ではないので、聞き手は相手に役立つような賢いコメントや質問をする必要もないし、場合によっては、聴いている間に自分のことを考え始めてしまっても良いとしました。なるべく語る側も聴く側も余計なプレッシャーを感じずに、語り続け、聴き続けられるような進行を心がけました。

    イメージ的に言うと、炉端で問わず語りに始まった誰かのモノローグを一緒に火を見ながら傍に居てただ聴いていればよい、というくらいの“ゆるい”感じで「語る」と「聴く」を繰り返しましょうと呼びかけた感じです。視線を合わせようとか、ちゃんとあいづちを打とうとかそんなこともあまり意識しなくて良いですよ。自然に必要な分だけ起こるからと。また机には明るい色のテーブルクロスがかけられ、お菓子や飲み物が用意されて、茶飲み話的な雰囲気でも良いような軽い演出も加えられました。

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ワークショップの出だしに提示した自分の半生分の写真コラージュです。これをつくるのに(写真を選ぶのに)半日かかりましたが、なんだかここまでの人生を“俯瞰”する感覚で楽しかったです♪ “人生俯瞰”した後の皆さんの顔、爽快感がただよってます!

<参加者の感想>

WS終了後にメールで配信したアンケートへの回答の一部をご紹介いたします。

集合写真
“人生俯瞰”した後の皆さんの顔、爽快感がただよってます!

「ミドルエイジからは自我によるセルフコントロールをゆるめて、大河の流れに身を委ねるためのゆとりが必要だと思いました。ゆとりを持つと自分に必要なサインに気づくことができるようにおもいます。」

「他の方が軽く大変な経験を話していたり、私だったら気にしないことを重要に思っていたりで、人の考え方、行動、こだわりが多様であり、どれも比較できない大切ことばかりで、映画の中に入ったような変な良い気持ちとなりました。」

「運よくここまで来られたとつくづく思いました。これまでの環境に感謝しました。まだ来ない未来に対して不安ばかりの否定的な感情や捉え方を持つのではなく、今できることをシッカリやっていこうと思いました。」

「“歳をとってからやること”と位置づけていたことが、実はもう既に始められるということがはっきりしました。また、臨終の年齢を仮定して、人生を俯瞰してみたことで、先ではなく、今やること、この5年内にやることなどが、くっきり見えてきました。」

「この歳になり、今ならできる、自分に備わったものを信じて、あるがままに五感を開くことが一番大事、そうすると、残りの人生を豊かにできる!と思えました。」

「落ち込んでたりで、一歩踏み出すのに躊躇してましたが、参加したおかげで早速一歩踏み出せました。あとは勝手に足が数歩進んでいくのを待つ状況になってます。」

「実行したいこととともに実行しないときめたこともやや明確になりました。具体的には会社退職後はボランティアというか人の為に何かをするということはせず、わがままに生きるということに後ろめたさがありましたが、前よりクリアな捉え方ができました。」

「『歳をとると、やれることが狭まっていくし、やれる度合いも下がる』と思い込んでいましたが、WSに参加し終えてみて、『やりたいことを死ぬ時まで続けられるんだ』と捉え方が変わりました。気持ちが明るくなりました。」

「自分のこれからの人生のイメージが湧かず、漠然とした不安ばかりが募るような状況でしたが、WSを通して思いの外、自分の人生にとってなくてはならないもの、これだけは大切にしたいというものが自分にはあるらしい…ということを実感できました。」

「老後の生活資金や認知の衰え(認知症)などに対する恐れはあるが、人生は可能な限り強みを生かすことだということがわかった。現時点で欲しかった手ごたえを得ることができた。」

「自分の年齢よりもずっと先輩の方々が、これまでを振り返りつつも、これから先の人生について生き生きと好きなことを好きなように語っている姿を見て、『誰にも分からない先のことなのだから、自分も好きなように思い描いて(妄想)いいんだ…』と、心の底から思えて安心できました。」

「人生の振り返り時間を改めてとっていただきました。しかも聞いてくれる人がいるこれほどわがままな時間は普段ありえません。ありがとうございました。」

「参加者のみなさんのキラキラした自分語りが素晴らしく、さすがソリューショニスト!と感じました。本当にありがとうございました!」

記念すべき第一回目の「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」ワークショップに参加してくださった勇気と好奇心にあふれた皆様、本当にありがとうございました!!

<今後の予定>

このワークショップを企画・準備する中で、私自身も自分の「これまで」を振り返り、「これから」について語る機会を持たせていただき、あらためて、自分の人生を思うように生きたい、そしてそれは可能だと思えるようになりました。こういう対話の機会を持つことで、自分を活かす道がより鮮明に見えてくるであろうミドルエージャーが世の中には沢山いるのではないかと思います。これを読んでいるあなたはいかがでしょうか?

第一回目を終えてみて、ミドルエージャーの人生俯瞰対話が持つ効果に関しては確信が持てたので、今年は「ミドルエージャーのための人生俯瞰」ワークショップを各地で開催したいと思います。

自社主催のものと、地元開催を望む方が主催する会に私が講師としてうかがう形式と両方あると良いと考えていますので、ご自身が主催者となり地元開催をご希望される方はお気軽にご連絡ください。温泉地や自然の中での合宿形式をご希望される声も届いておりますので、色々な企画を考えたいと思います。

まずは東京での第二回目の開催を告知させていただきます。

日時: 2018年4月29日(日) 午前10時〜午後5時30分
会場: ちよだプラットフォームスクエア(東京都千代田区)
参加費: 1万円(税込)
定員: 15名
問い合わせ・地元開催のご提案等はこちらへ:aoki@solutionfocus.jp

お申込みはこちらまで↓
http://sf-academia.jp/registration/reg_form.php#spesialWS

SFアカデミア 青木安輝
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2018年01月03日

「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」

◆◆◆スペシャルワークショップ◆◆◆
◆◆◆「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」◆◆◆
★日時 :2018年2月11日(日)10:00〜17:00
★進行役 :青木 安輝
(SFプログラム開発者
株式会社ソリューションフォーカス代表取締役)
★場所 ちよだプラットフォーム(東京都千代田区神田錦町)
★参加費 :10,000円(税込)

「ミドルエージャーの100年人生俯瞰」という参加者対話型ワークショップは、来年還暦を迎えるという年齢になった私が、今までの半生を振り返り、これから先まだ数十年続く可能性のある人生をどう生きるかについて考えていることや迷っていること等を人に話したい、他の人がどう考えているかも聞いてみたいという願望を持ったことが発端となり企画することになりました。

この変化の激しい時代にあって、前世代の生き方が直接参考にならないことがとても多くなりました。従来の既存パターンの中からの選択だけでは自分の状況には合わない、自分独自の生き方が必要だと思う人が増えています。自分はそんなに特別ではないからと”フツー”に生きようとしても、既定路線が引かれていない領域が増えてきたのではないでしょうか。自分が納得できる自己流の生き方を見つけていくためにも、多くの人とLIVEに対話をすることが役に立つはずです。同じ考えの人、びっくりするほど違う考えの人、様々なバックグラウンドの人と対話を重ねることで、自分が考えていること(いないこと)が明確になってきます。

「ミドルエージャー」は単に中年期の人という意味ではなく、今までの生き方とこれからの生き方の中間(middle)にいて、自分の可能性を見直してみたいと思っている人という意味をもたせています。また、いろいろな経験をしてきて、何が幸せと思えるのかに関しての知恵が深まってきているので、バランスのとれた中庸(middle path)なあり方の大切さを認識している世代という意味も含んでいます。ですから、40代、50代、60代、70代の人生のミドルポジションにいらっしゃる方はもちろん、20代や30代でも「これまでの人生」と「これからの人生」をSF的に俯瞰してみたいという方に参加していただきたいです。

お申込:http://sf-academia.jp/registration/reg_form.php#spesialWS

SFアカデミア 青木安輝
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2017年03月05日

「OKメッセージ」=「相手に関心を持って丁寧に対応する」という生き方

春のスペシャルワークショップ(3月4日開催)参加体験記  by 青木安輝
「OKメッセージ → “相手に関心を持って丁寧に対応する”」
- 定年退職後 編 - 言わない決意/言わない勇気
by 田近徹太郎さん

今日は啓蟄。土ごもりの虫も動き出すくらい春らしくなる日。
僕の住んでいる八王子(東京都)は、まさに外に出て体を伸ばしたくなるようなポカポカ陽気の日曜日です。

昨日開催された春のスペシャルワークショップは、そんな春の暖かさを感じさせてくれる田近徹太郎さんがご登壇されました。ここに記すのは参加した私の個人的感想です。感銘を受けたことが沢山あって、長〜い感想文になりますが、良かったら読んでください。

まず冒頭の自己紹介で感慨深かったのは、2008年の第一回日本ソリューションフォーカス活用事例共有大会(J-SOL1)に参加された外資系製造業の管理職の男性が、そこで心に響く何かを感じ、それ以来10年近い年月の間、SFを会社を良くするために活用したり、「OKメッセージ」とは何なのかを様々な人間関係の中で探究し続けてこられたという事実でした。

その結果として、自分の生き方の中に自然にSFが溶け込んで、SF用語を使わず自分の言葉で語るSFになっていることで、SFを学んだことがない人にとってもスッと入ってくる人生の語りになっていたのが素敵でした!
今までにSFのセミナーや大会に参加された方々の中に、こんな風にSFを見事に自分の個性にブレンドした"SF inside"な方がいるのだと思うと、「SFアカデミア」主宰者として大変勇気づけられました!

日常接する身近で大切な人たちとの間で生じる心の中の葛藤、そこから始まる自己探求、様々な葛藤解決の試み、その失敗と成功。それらを静かで柔らかな口調で語る田近さんの姿は、大人の男性としてお手本にしたいと思うくらい、誇張もごまかしも無用な卑下も力みもない自然体に見えました。

ここまでが前置きです・・・長いですね(笑)。
ここから先は独り言調にさせていただきます。

いやあ、なんつっても感銘を受けたのは、自分も周りの人も無理やり変えようとしないことを徹底しているところ。でも最初は「ダメなところを見つける」→「変えようとする」のパターンでお互いに不快な思いをするところからスタートしてるんだよね。

退職して毎日長い時間を一緒に過ごすことになった家族に対しては、それまで一緒にいないから気にしないですんだことに対して違和感や不満を感じることが多くなる。で、最初は(できるだけ)やさしい言葉で指摘して、論理的な説明も加えて相手を変えようと試みる。そして相手が行動を変える努力をしてくれるんだけど、本来の輝きを失っていくし、お互いの間がなんとなくぎこちなくなっていくっていうデメリットが気になり始める。

そこから先の田近さんの自己探求プロセスがとっても興味深かった。

これからずっとこの不快な感覚をお互いに味わうのはゴメンだと思った田近さんは「やっぱりSFでいこう」と思った。まず悪いところの指摘をやめる。そして欠点と見えていたところは、まさに相手の個性を形成している重要部分で、何らかの役に立っているのではないだろうかという視点でとらえ直した。

「『片づけができない』のは欠点と思ってきたけど、『大らかさ』の現れ。神経質な自分が落ち込んだときには、それによく救われたよなぁ。」

「『計画性がない』やつって思ってきたけど、『直感的な鋭さ』があるから(論理性優位な)人には考えつかないようなアイデア出せるよなぁ。」

等々、その他いくつかの欠点はすべて長所の裏返しと思えたそうだ。

多分これを読んだ人は、「ああ、あの手法ね」と何等かのスキル用語を思い浮かべたのではないかと思う。しかし、田近さんはこのことを心理系の専門用語を使わずに、自分の人生のストーリーとして語ってくれたので、聞いている側にも自然と自己探求を促す効果があったと思う。

やたら“用語”とかフレームワークとかを使いたがるプロ講師等にはない“素”の良さだね。「素人」ってそういう意味?!と妙に合点。

さて、欠点の指摘はなるべくやめて、相手の個性を長所として見る・・・。
いいよね。しかし、これですべてはうまくいきましたとさ・・・にならなかったんだ。

確かに相手はまた輝きを取り戻していった。ぎくしゃくした感覚もなくなって笑顔が戻った。だけど、今度はなんだか自分が不全感を感じる・・・。

これじゃ、ただの我慢じゃねーか(笑)。
我慢だから、ときどき圧力がたまって暴発もする。ぎゃっ。

ここでグッと自己探求が深まった・・・その結果が

言わない決意(覚悟) →  言わない勇気

というサブタイトルにもなった核心部分につながっていく。

この言葉の意味を田近さんが体験した通りに僕の言葉で再現できる自信はない。だけど、僕が受け取った意味はこうだ。

「我慢」というのはやらされ感と同じで無理に自分に強いている意識。

そんなんじゃなくて、自分の得意としている「覚悟を決める→継続する」でいこうと田近さんはとらえ方を変えた。若い頃から、毎日腕立て伏せをやると決めたら1日も休まず病気の時も欠かさずやるくらい強い決め(覚悟)を持てるのが自分の良さだという自覚があるので、我慢じゃなくて「決め」でいこう!

えっ、「決め」って自分への強制じゃないの?
これってただ言葉を言い換えただけじゃないの?
それで否定的な感情を持たないようにできるの?

などと疑問が湧く人もいるだろうと思う。

でも、僕は了解した。受け入れたんだなあって。田近さんは実際「受けいれる」は自分にとってキーワードだとおっしゃった。

「言わない決意(覚悟)」をサブタイトルにするくらいなので、ここはこの3時間のワークショップの肝だったと思う。だが、どうやったら「受け入れる」ことができるのか、そして「決め」を持つことができるのか。自分の人生における似たような体験を思い出して、多分それと同じようなことなのかなと想像することはできるが、田近さんに代わって説明することはできない。田近さんが使った言葉は、

“自分の生き方として それをやると決める。”

それが我慢でないことをより良くあらわす言葉として、「勇気」という言葉がしっくりきたそうで、「言わない勇気」というのがたどりついた表現。

この勇気をもってからは、また見えてくるものが変化したそうだ。まだ完ぺきでなくても、こちらの希望に沿う努力をしてくれていることが見えてきたり、今までやってくれなかったことをしてくれる「例外」が見つかったり、そういう努力の成果が少しづつ進歩しているのがわかったり・・・。

ここで、稀勢の里の父親の発言が引用された。彼が横綱になるまでには何回ものつまづきがあった。マスコミは「またダメか」と批判的なだけの論調だったけど、父親は「息子は負けた中でも少しづつ進歩している」と言い続けたそうだ。それはなぐさめではなく、大切な息子が大事にして いることを応援する肉親の目だからこそ見えた、小さいけど前向きな違いだったのだろう。田近さんは、「(批判的なことを)言わない勇気」を持ってから、逆に家族のそうした小さな違いが見えるようになったとのこと。

相手に関心を持って丁寧に対応する。

まさに!

田近さんは、自分自身へのOKメッセージをとても大事にしていることを最後に語って、ワークショップを締めくくった。

ある時点で、自分に対してもっともソリューションフォーカスしていないかもしれないと自覚した田近さんは、自分が欠点と思ってしまっていることをリストアップして、それの裏返しである長所を自覚した。そしてそんな自分を認めた上で、その自分を丁寧に扱ってあげるための問いかけを自分自身に対してした。

「自分は何がしたいのか?」

「自分は今 ここちよい と感じているか?」

「自分の身体をいたわっているか? 負荷をかけすぎていないか?」

「自分に過度の期待をしていないか?」

「朝一番と寝る前にリセットしているか?」

「身近な人たちに“ありがとう”をたくさん言えてるか?」

「自分自身に“ありがとう”を言っているか?」

これらの自問シリーズの説明の中で、僕にとって一番印象深かったのは「自分に過度の期待をしていないか?」のところで紹介された明石家さんまのエピソード。

TV番組の中で「落ち込むことはありますか?」という質問に対してのさんま師匠の答えは、「ないっ!だって自分に全然期待してないもん。落ち込むのは自分に期待し過ぎとるからやぁ。」

等身大でいこうという想いが気持ちよく高まって終了した3時間だった。

参加者の皆さんそれぞれにとって、印象に残ったこと、想いが及んだこと、影響を受けたこと等は違うと思うが、やはり生き方ベースでの体験談は考え方に賛成か反対かと関係なく、自分を振り返らせてくれたことは確かだと思う。

田近さん、本当にありがとうございました!

田近氏 ワークショップの様子
SFアカデミア
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2017年03月02日

「SFアーティストクラブ」新年度会員募集

「SFアーティストクラブ」新年度会員募集中!!

こんにちは、ソリューションフォーカスの青木です。まだまだ寒さが厳しい日もありますが、春らしさが日に日に増してきましたね♫

"SF inside" Day 2017における「共有事例」の募集は2月一杯で締め切らせていただき、10件のご応募がありました。ご応募くださった皆様、ありがとうございます!!今月中にプログラムとして組み上げて皆様にお知らせする予定です。今年も有意義な大会となること間違いなしです。どうぞお楽しみに!

さて、今号のSFニュースでお知らせしたいのは、「SFアーティストクラブ」の新入会員募集についてです。

SF活用の現場では必ずそこに関わる人の個性や知恵が創造的に活かされます。そういった自分なりの工夫をすることを楽しんでいる人が、お互いの実践体験をいつでも安心してシェアできる場を持つことを目的とした会員制度が「SFアーティストクラブ」です。

会員の特典は以下の3つです:
  1. 会員限定Facebookグループへの登録
  2. 会員専用のメーリングリストへの登録
  3. 「SFアカデミア」プログラム 会員割引

オンラインでの交流が中心ですので、居住地がどこであってもSF仲間との交流が可能です。年会費は6,000円ですが、その半額分のSFアカデミア・プログラム参加割引が受けられますから、実質 3,000円となります。

◆ご興味がある方は、下記サイトにて、詳しい内容をご確認ください。
http://www.sf-academia.jp/program/service.php

◆会員登録条件・会員規約等:
http://www.sf-academia.jp/program/regist.php

◆お申込はこちらから:
http://www.sf-academia.jp/registration/reg_form.php

皆様のご参加をお待ち申し上げます♪

SFアカデミア 青木安輝
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