2016年07月19日

"SF inside" Day 主催者振り返りコラム

"SF inside" は「SF入ってる!」
SF inside Day 全体会

J-SOL改め "SF inside" Day は、6月26日に開催され大好評でした。J-SOL参加経験者の皆さんにとっては、半分の1日という短さ、海外ソリューショニストの不在、好評だった「壁フェイスブック」がない等、いろいろな意味で足りない点が気になるかもしれないと開催前は心配していたのですが、当日の盛り上がり具合を見ても、アンケート結果を見ても全て杞憂であったことが判明しました。逆に「コンパクトで良かった」など、J-SOLよりも良い点があったという評価もいただきました。

SF入ってる!

また "SF inside" という言葉を前面に打ち出して、チームや組織のメンバー自身が主導するSF活用に焦点を絞った点も、参加者の8割が組織人としてSF活用する人々であったことと相まって、このイベントが目指すことをより明確に共有できたようです。 "SF inside "の語源は「インテル入ってる」のもじりだったので、そのまま日本語にすれば「SF入ってる!」となります。外から見ると普通のことをしているだけに見えるような場合でも、そこにSFが入ってる(当事者にSF意識がある)と、実は効果的な違いが生まれる一工夫がなされている。そんなイメージで "SF inside " が使われました。

"SF inside " Day を終えてみて強く感じたのは、SFを組織の中で活用しようとする世界中のいくつかの流れの中で、J-SOLに参加し続けてくださった皆さんが創り上げてきて、 "SF inside " Dayに引き継がれているある種の様式は、大変ユニークなものであるということです。キーワードは「小さなことの継続」。

2005年に私が株式会社ソリューションフォーカスを立ち上げて、組織の中でSFを普及させる活動を開始した時は、組織におけるSF活用事例といっても面談技法の延長としてのコーチング的なものや、SFを学んだ専門家によるファシリテーションやチームビルディング的なものが多かったです。特に欧米では外部の人間(outsider)がクライアントに“対して”使う技法という意味あいが濃かったのです。もちろん今でもそういう活用法は珍重されていますが、日本では独自の形で "SF inside " なチームづくりが進化しています。

三井造船株式会社玉野事業所の皆さん
今回発表された "SF inside " 事例9つの内、一つの例外(SMBCラーニングサポート社の研修へのSF応用)を除く8つの発表すべてが組織内部の当事者(insider)によるSF実践事例でした。しかも、特定の問題を解決して終わるものではなく、継続的な活動を通じて健康で前向きな組織文化を創ろうとする傾向のものでした。「解決志向」という名称は問題解決の技法という印象を与えますが、マイナス要素を除去するために一時的に使用するものというよりは、むしろ漢方薬のように継続的な服用で体質が強化されるイメージでのSF活用が増えてきました。毎月の部下面談に取り入れたという内容もあれば、毎日の朝礼のやり方を工夫してコミュニケーションが増えるようにしたとか、現場リーダーが定期的にリフレクティングチームをする等、形の上でもバラエティーに富んでいます。
参加者同士でシェア
一回だけではほんの小さなことでも、継続することで確実に人の結びつきを強くして組織力を上げていく様子が伝わってくる発表が多く、チームや組織が "SF inside " であるということは、内側にいる当事者が主体となって毎日のコミュニケーションの中に「他者尊重」や「多様性の許容(活用)」などのSF要素を増やすことであるという印象が残りました。
グーグルが実施した「プロジェクト・アリストテレス」という最強のチームを創る方法を見つけるための研究の成果が今年になって発表されました。それによれば、メンバーが「心理的安全性」を高く感じているチームの生産性が高いということが判明したそうです。さらに詳しく言うと「メンバー全員が同じように発言できる」「メンバー同士がお互いの状態に敏感で気遣いをする」という2点が重要だそうですが、"SF inside" Day で発表された内容の多くは、SFがチーム内で活かされると、まさにこの2点を高める方向に作用することを確認できるものでした。
全体会の様子
ただし、グーグルの研究成果の中でも言われていますが、どうやって「心理的安全性」の高いチームをつくるかの具体的方法には定型なし。ルールで縛れば長続きしないし、まさに縛りであることで「心理的安全性」が遠ざかります。なので、大会の中で発表された "SF inside" 事例を「〜型」という形でラベルをつけて類型化しようとするよりは、その「多様さ」自体が命であることを認識して、それらを実践している人たちの生の声を聴いて、自分の中で共鳴が起こる部分を増幅することが大事だと考えています。本や各種媒体に情報はあふれていますが、やはり生の声で伝わってくるものは心を揺さぶります。その自分の心の中にある揺さぶられた“何か”を核にすることができれば、具体的にどうするかは自分の性格や置かれた状況に合わせてどのようにユニークなものにしても良いし、そうするのがベストなようです。この大会のDVDは8月に販売開始予定ですが、それを製作する目的は、参加した方には自分の心の感動を思い起こしてもらうため、そしてまだ参加したことない方には「よくはわからないけど、次回は参加してみても良さそうだ」と思ってもらうことです。文字にはできない、映像を見てもわからない、あの場に身を置くことで感じられる何かが確実にあります。人は人から学びます。
分科会の様子

今回の多くの発表に共通するキーワードとなった「継続」。口で言うのは簡単ですが、どんな簡単なことでもチームの中で形骸化させずに効果を生み出す形で続けるのは本当に大変なことです。SFの考え方が好きになって個人的には活用しているものの、会社の中でそれを広めることはなかなかうまくできずにあきらめる人もいます。会社公認で始めたSF的な活動でも行き詰ることもあります。そんな時に、効果的に活かされたのが「SF実践コース」への参加であったという発表も今回目立ちました。誰でも一人で悩めば否定的な方向に考えてしまう可能性は高くなります。そんな時に、「そんな中でもうまくいっていることは何か」を一緒に探したり、「最終的にはどんな風になることを目指したいか」という肯定的未来イメージを呼び起こすワークをしたり、「今できることは何か」に関するアイデアを出し合う仲間がいることはとても心強いです。SFアカデミア・クリードである「認め合い、学び合い、応援し合う」を最高度に実践できる場があることで、困難を乗り超える体験が確実にリソースになっていきます。藤森工業や藤吉工業のように毎年「SF実践コース」に現場のキーマンを送り込んでくださる会社において修了生がサポート体制をつくっていたり、組織の継続的体質改善に取り組んでいる様子は本当に頼もしいです。

藤吉工業の夏目さん

何か問題が起きたときに、すぐにSF的サポートが受けられることでどれだけ心理的に助かり、前進するための方法が見つかり、そして問題が起こったことがかえって良かったと思えるような結果を生み出すかについて、大会の中では藤吉工業の夏目さんが一つのエピソードをシェアしてくださいました。SF活動の中で良かれと思ってやっていたことが、ある社員にとっては不快な状況を生み出してしまいました。そのことで強い否定的なメッセ―ジを受け取った夏目さんが、まさにその夜にSF実践コーススタッフの藤沢と渡辺のダブルSFコーチングを受けて、「1時間で頭の中が入れ替わる」ことを実感したそうです。色々なことがあるといつのまにか否定的な考えに浸ってしまうことってありますが、それを長い時間続けずに、プラスの可能性に焦点を当て変えることで状況がまったく違って見えることを実感して、そんな風にとらえ方を転換するクセをつけるためには、半年間SF濃度の濃い学び合い空間に身を置くことが役に立ちます。それは一生の宝になっていくようです。

8月に入ったら "SF inside" Day の記録DVDを発売開始する予定です。参加できなかった皆さんにご覧いただいて、「来年は行くぞ!」という気持ちになるかどうかご確認いただきたいですし、参加された皆さんはぜひ“あの感覚”を思い出すために観ることをお勧めしたいです。詳細はあらためて「SFニュース」でお知らせしますので、もう少しお待ちください。

来年の "SF inside" Dayの日程や場所は、9月初旬までには決定してお知らせする予定です。来年はどんな人たちが集まるかなあと考えると今からワクワクします!

◆大会中のスナップ写真をつなげたムービー
https://youtu.be/wnJdb_WZPWY

◆参加者の感想インタビュー動画
https://youtu.be/6UMUD6B0350

◆大会終了時のアンケート集計結果
http://www.j-sol.org/questionnaire/SFiD2016questionnaire.pdf

SF inside Day by 青木 安輝
posted by 株式会社ソリューションフォーカス at 14:03| Comment(0) | TrackBack(0) | "SF inside" Day
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